「ONE PIECE(ワンピース)」映画一覧
アニメ「ONE PIECE(ワンピース)」の映画(劇場版)の一覧です。 第1作(2000年)から最新の「FILM RED(フィルムレッド)」(2022年)まで。 歴代作品のあらすじ(ネタバレ注意)、キャラクター、ゲスト声優など。 ワンピースは「ひとつなぎの大秘宝(ONE PIECE)」を目指して旅をする海賊たちの物語です。 原作漫画の累計発行部数は5億部。(キネヨコ編集部)
2020年代
作品名と動画 | あらすじ、見どころ |
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「ワンピース FILM RED(レッド)」
(2022年8月6日公開) 【動画配信:アマゾン】 <予告編> <主題歌「新時代」 by Ado> <挿入歌「私は最強」 by Ado> <挿入歌「逆光」 by Ado> <挿入歌「Fleeting Lullaby」 by Ado> <挿入歌「世界のつづき」 by Ado> <挿入歌「Tot Musica」 by Ado> <挿入歌「風のゆくえ」 by Ado> |
第15作
【歴史的な大ヒット】 歌劇や音楽ライブの要素をたっぷり入れた異色作。 興行収入203億円(国内)を記録した。 日本の歴代興収ランキングで史上7位という誰も予想しえなかった規模の大ヒット。 ワンピース・シリーズで過去最高だった「フィルム・ゼット」(2012年)の68億円の3倍であり、まさに異次元レベルの大成功となった。 当初は、往年のファンの間では賛否が分かれた。 しかし、原作になじみの薄い層も取り込み、女性や子供にも人気を博した。 リピーターも続出した。 【歌姫】 新キャラクターとして少女「ウタ」が登場する。赤髪海賊団の大頭シャンクスの娘であり、世界的な人気歌手という設定。平和を望む庶民のために「アンチ海賊」のメッセージを掲げる。 舞台は音楽の島エレジア。それまでネット配信だけで活動していたウタのコンサートが行われ、公の場に初めて現れる。 たまたま島に来ていた主人公ルフィは、ウタの幼なじみ。出会いは12年前のフーシャ村へとさかのぼる。 【シャンクスの謎】 ウタの登場に伴い、父親である海賊シャンクスの過去や人物像にもスポットが当てられる。シャンクスは原作漫画の第1巻から登場する超重要キャラ。そもそも主人公ルフィが海賊を目指すきっかけとなった憧れの存在であり、ルフィに麦わら帽子を預けたのもシャンクスである。 とはいえ、その人物像や戦闘スタイルは謎が多く、テレビ版でも登場回数が少ない。本作では、原作兼総合プロデューサーの尾田栄一郎の意向もあり、しっかりと表に出てくる。物語のメインキャラと呼べるほどではないが、見せ場は用意されている。題名「Red」はシャンクスの「赤髪」にちなむ。 【歌手Ado】 ウタの楽曲を担当するのは、19歳の人気歌手Ado(アド)。 パワフルな迫力と繊細さを兼ね備えた歌唱力を発揮している。 劇中で7曲流れ、物語の推進役となる。 作曲・作詞は、7曲それぞれを別のミュージシャンたちがを手掛けた。 音楽マニアでもある尾田栄一郎が、使用シーンなどをふまえて曲ごとに音楽家を指名したという。主題歌「新時代」(作曲・作詞:中田ヤスタカ)をはじめ次々とヒットチャートの上位に入り、音楽界にも旋風を巻き起こした。 【実力派監督を起用】 監督の谷口悟朗(ごろう)氏は「コードギアス」シリーズの原案・監督などで知られる実力派。これまでの劇場版ワンピースは、東映アニメーションの所属または出身者が監督を務めてきたが、今回は多彩な実績を持つ独立系監督の起用となった。 谷口とワンピースの縁は古い。テレビ番組化される前の1998年、雑誌「ジャンプ」のイベント用の短編アニメ版を、谷口が手掛けた。谷口にとって監督デビュー作だった。それだけに個人的な思い入れも強い。 このほか、美術、撮影、色彩設定の各責任者も、東映以外の実力派が起用された。 一方、脚本を書いた黒岩勉は、実写映画「キングダム」シリーズなどを手掛けた売れっ子。ワンピース劇場版は「ゴールド」に続き2作目。 【非日常の劇場体験】 本作が大成功した理由として、映画館ならではの娯楽体験を提供したことが挙げられる。 ライブ会場にいるかのような躍動感あふれる音や映像など、 新鮮で刺激的な非日常の演出が、ケタ違いの観客動員を導いた。 製作委員会(出資者)に電通が加わり、 派手で巧みな宣伝・集客活動が展開されたことも商業的にプラスに働いたようだ。 【ついに映画界を制す】 原作漫画が「最終章」に突入したタイミングでの劇場公開だった。 連載開始から四半世紀を迎えた国民的コミックが、 ついに映画界をも制覇する形となった。 【海外でもシリーズ最高に】 海外でもシリーズ最高の売上を稼いだ。 国別での興行収入は中国32億円を筆頭に、 北米18億円、 フランス10億円など。 【長さ】1時間55分 【興行収入】 国内:197億円 【監督】谷口悟朗(過去作:アニメ「コードギアス」シリーズなど) 【総合プロデューサー】尾田栄一郎 【ゲスト声優】山田裕貴、霜降り明星(粗品&せいや)、新津ちせ 【脚本】黒岩勉(「ゴールド」に続き劇場版2作目) 【主題歌】「新時代」(歌手:Ado) |
2010年代
作品名と動画 | あらすじ、見どころ |
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「ワンピース STAMPEDE(スタンピード)」
(2019年8月) 【配信(Amazon)→】 <予告編> <主題歌(WANIMA)> |
第14作
お祭りイベント的な一作。海外でも興行収入を伸ばし、前世界で100億円を突破した。 歴代の脇役たち200人以上が結集。オールスター映画となっている。過去作の名シーンのオマージュもふんだんに盛り込まれている。 見どころは、やはり戦闘シーン。メインの敵役となるバレットは、壮絶な強さを誇る。 このバレットを、主人公ルフィたちはグループの垣根を超えた「共同戦線」で倒そうとする。様々な共闘シーンが熱い。 「海賊万博」が舞台。ルフィが率いる「麦わらの一味」をはじめ、有名な海賊たちが集まって宝物の争奪戦を展開する。 なお、題名のStampede(スタンピード)とは、英語で「大挙して押し寄せる」ことを意味する。 【長さ】1時間41分 【興行収入】55.5億円 【監督】大塚隆史(過去作:映画「プリキュア」シリーズなど。東映アニメ出身) 【監修】尾田栄一郎 【ゲスト声優】ユースケ・サンタマリア、指原莉乃、山里亮太 【脚本】冨岡淳広、大塚隆史 【主題歌】「GONG」(歌手:WANIMA) 【敵】バレット |
「ワンピース FILM GOLD(ゴールド)」 (2016年7月) 【配信(Amazon)→】 U-NEXT→ <予告編> <主題歌(GLIM SPANKY)> |
第13作
カジノを舞台にしたピカピカ映画。ストーリー性はともかく、演出やエンタメ性は過去最高レベルと評価されている。 前作「Z」が大ヒットしたことで、大型予算が組まれた。ハリウッド映画的な要素のある派手な仕上がり。衣装も豪華。 ゲスト声優も多数出演したが、これについては賛否が分かれた。 興行収入は前作「Z」を下回った。 【あらすじ】王下七武海の一角、海賊ドンキホーテ・ドフラミンゴを倒した主人公ルフィら「麦わらの一味」。 世界の勢力図が動き出す中、新世界を航海する一行は、ある場所を目指していた。 舞台となるのは、世界最大のカジノ街「グラン・テゾーロ」。 一攫千金を夢見て世界中から人々が集う。 この街では、「カジノ王」として君臨するギルド・テゾーロが絶大な権力を握る。世界政府すら容易に手を出すことのできない独立国家なのであった。 豪華絢爛な街の様子に浮かれるルフィたちの前に街の非情なルールが立ち塞がる。そんな中で明らかになるのが、テゾーロから天竜人へ上納される史上最高額の「天上金」の存在。 莫大な金を巡りルフィたち麦わらの一味とテゾーロ一味、さらには世界政府と革命軍それぞれの思惑が黄金船の上でぶつかり合う。 金の力で人々を支配しようとするテゾーロにルフィの拳が怒りに震える。 【長さ】2時間 【興行収入】51.8億円 【監督】宮元宏彰(東映アニメ所属) 【総合プロデューサー】尾田栄一郎 【ゲスト声優】満島ひかり、濱田岳、菜々緒、ケンドーコバヤシ、北大路欣也、コロッケ、古田新太、ナダル(コロコロチキチキペッパーズ) 【脚本】黒岩勉 【主題歌】「怒りをくれよ」(歌手:GLIM SPANKY) 【敵】ギルド・テゾーロ |
「ワンピース FILM Z(ゼット)」 (2012年12月) 【配信(Amazon)→】 U-NEXT→ <予告編> <主題歌(アヴリル・ラヴィーン)> How You Remind Me Bad Reputation |
第12作
興行収入は68億7000万円。2022年公開の「ワンピース・レッド」に抜かれるまで、10年にわたってシリーズ最高を記録した。 主人公は、元海軍大将ゼット。ルフィとの闘いが見物。2人の男の意地がぶつかりあう。 脚本は、人気放送作家の鈴木おさむ。「SMAP×SMAP」などテレビの人気バラエティー番組の構成担当として知られる。 カナダ出身の世界的な人気歌手アヴリル・ラヴィーン(当時28歳)が主題歌を担当した。ラヴィーンは親日家であり、ワンピース好きで有名。 【あらすじ】“偉大なる航海”後半の海、“新世界”のある島に、元海軍大将ゼットが率いる「NEO将軍」と名乗る集団が乗り込んでくる。 そこには古代兵器に匹敵する巨大エネルギー鉱物・ダイナ岩があった。ゼットは部下のアイン、ビンズとともにダイナ岩を奪取し、“全海賊抹殺”の計画を進めようとしていた。 そんな中、“麦わらの一味”はゼットと遭遇してしまう。ゼットたちの圧倒的な力の前にルフィたちは打ちのめされる…。 一方、海軍本部や元海軍大将の青ジキたちも動き出す。様々な思惑のなか、“新世界”の命運を分ける、壮絶な戦いが繰り広げられようとしていた。 【長さ】1時間48分 【興行収入】68.7億円 【監督】長峯達也(東映アニメ所属) 【総合プロデューサー】尾田栄一郎 【ゲスト声優】篠原涼子、香川照之 【脚本】鈴木おさむ 【主題歌】「How You Remind Me(ハウ・ユー・リマインド・ミー)」 「Bad Reputation(バッド・レピュテーション)」 (歌手:アヴリル・ラヴィーン) |
「ワンピース 3D 麦わらチェイス」 (2011年3月) 予告編(Youtube)→ 【配信(Amazon)→】 <予告編> <主題歌(スカパラ)> |
第11作
初めての3D(立体)映画。30分の短編。「トリコ 3D 開幕!グルメアドベンチャー!!」との2本立てで公開された。当時の映画界は「アバター」が大ヒットするなど、洋画を中心に3Dがブームになっていた。 東日本大震災の翌週に劇場公開された。 【あらすじ】ある朝ルフィは、大事な麦わら帽子が無くなったことに気づく。船中を、海上を、探し回るルフィらの頭上に現れたのは、麦わら帽子をくわえた大ワシ。他の海賊や海軍など様々な妨害にあいながらも、ルフィは必死になって帽子を取り戻そうとするが…。 【見どころ】約30分の短編ながらCGによる迫力ある戦闘シーンの数々は、映画というよりもテーマパークのアトラクションさながら。 通常はなかなか描かれないサウザンドサニー号船内の様子がふんだんに描かれているのも、ファンとしてはうれしいポイント。 長さがシリーズで最も短い。 【長さ】30分 【興行収入】7.9億円 【監督】佐藤宏幸(東映アニメ) 【ゲスト声優】山口智充 【脚本】堤泰之 【主題歌】「Break into the Light~約束の帽子~」(歌手:東京スカパラダイスオーケストラ) |
2000年代
作品名と動画 | あらすじ、見どころ |
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「ワンピース FILM STRONG WORLD(ストロング・ワールド)」 (2009年12月) 【配信(Amazon)→】 <予告編> <主題歌(ミスチル)> |
第10作
劇場版10作目の記念作品。原作者・尾田栄一郎(当時34歳)による初めての完全書き下ろしとなった。製作総指揮も尾田氏が務めた。 さらに、ストーリー(物語)やキャラクター設定なども手掛けた。 このため、原作との関連性が非常に高いのが特徴になっている。 原作の魅力でもある細かいボケやギャグ、戦いのカッコよさが光る。 主題歌をミスター・チルドレン(ミスチル)が担当した。尾田氏が熱望し、尾田氏自らボーカルの桜井和寿(当時39歳)に映画全体の方向性や内容を記した手紙を送り、それを受けた桜井が同曲を作詞作曲した。 歌詞には「航海」「宝物」「帆」など海賊の冒険物語「ワンピース」ならではのフレーズも。 それまでの劇場版の中で最高の興行収入だった第2作「ねじまき島」を大きく上回る大ヒットとなった。 【あらすじ】 旅を続けるルフィたちの前に、空飛ぶ海賊船に乗って現れた伝説の海賊「金獅子のシキ」。恐ろしい野望を秘めたシキは、航海士のナミを連れ去り、ルフィたちを様々な珍獣が住む空飛ぶ島へと散り散りにさせる。 故郷の危機を伝えるニュースを聞いたルフィらのもとに、伝説の海賊・金獅子のシキが現れる。 ルフィたちがシブい装いで決め、強敵「金獅子のシキ」ら悪玉たちが集結する場へ踏み込む場面は、往年の任侠(にんきょう)映画を思わせる。 【長さ】1時間55分 【興行収入】48億円 【監督】境宗久(東映アニメ) 【製作総指揮、物語、衣装&生き物デザイン】尾田栄一郎 【ゲスト声優】竹中直人 【脚本】上坂浩彦 【主題歌】「ファンファーレ」(歌手:ミスター・チルドレン) 【敵】金獅子のシキ |
「ワンピース THE MOVIE エピソード・オブ・チョッパー+ 冬に咲く、奇跡の桜」 (2008年3月) 【配信(Amazon)→】 <予告編> <主題歌(ドリカム)> |
第9作
主人公ルフィーの仲間であるトナカイ「チョッパー」の物語。感動もの。 ファンの間で人気の高い感動秘話のリメイク。 テレビ版の「冬島篇」は2001年8月に放送されたが、本作は完全新作となった。 ルフィたちはサウザンド・サニー号で冬島に行く展開になる。 チョッパーが、医療を志したきっかけや、ルフィの船と乗船するまでを描く。 チョッパーの師ヒルルクの生き方や2人の出会いと別れなど、感涙シーンが盛りだくさん。 原作ではチョッパーは5番目の仲間だが、本作では、6番目のロビンと7番目のフランキーが既に加わっているという設定に変えた。 原作者の尾田栄一郎氏がオリジナルキャラクター「ムッシュール」を書き下ろした。これが、尾田先生の劇場版への初参加となった。このムッシュールの声を、売れっ子だった司会者みのもんたが担当した。 2009年の日本アカデミー賞(日アカ)のアニメ作品賞ノミネート。日本アカデミー賞のノミネートはシリーズ初めてだった。ただし、日本アカデミー賞は東映・東宝・松竹による茶番劇であるため、価値がない。 【あらすじ】高熱で倒れたナミを救おうと、ルフィらは冬島・ドラム王国にたどり着く。そこで出会った小さな医師チョッパーは、トナカイ仲間や人々から迫害された悲しい過去を抱えていた。 【長さ】1時間53分 【興行収入】9.2億円 【監督】志水淳児 【企画協力・オリジナルキャラクターデザイン】尾田栄一郎 【ゲスト声優】みのもんた 【脚本】上坂浩彦 【主題歌】「またね」(歌手:DREAMS COME TRUE) |
「ワンピース エピソード・オブ・アラバスタ 砂漠の王女と海賊たち」 (2007年3月) 【配信(Amazon)→】 <予告編> <主題歌(川嶋あい)> |
第8作
楽しさよりも「感動」を追及した作品。原作漫画のエピソードに基づいている。 テレビ版でもアニメ化されていたが、全編を新たに作画し直した。長い物語を1時間半に凝縮したことで、ダイジェスト版のような展開となり、賛否両論に分かれた。終盤の泣けるシーンには高評価が集まった。 興行収入は歴代の劇場版の中で「3D 麦わらチェイス」に次ぐ低さ。 のちに仲間に加わるロビンが、強敵として登場している。 【あらすじ】砂漠の国アラバスタは、悪の秘密結社の暗躍によって崩壊の危機に直面していた。故郷を救うために国外に出ていたアラバスタの王女ビビは、ルフィらの船でアラバスタに帰国する。ルフィらは、王国の崩壊を食い止めることができるのか? 【長さ】1時間30分 【興行収入】9億円 【監督】今村隆寛 【ゲスト声優】矢口真里、南海キャンディーズ、田村淳(ロンドンブーツ1号2号) 【脚本】上坂浩彦 【主題歌】「compass」(歌手:川嶋あい) |
「ワンピース THE MOVIE カラクリ城のメカ巨兵」 (2006年3月) 【配信(Amazon)→】 <予告編> |
第7作
ギャグが多めのコメディ系作品。 【あらすじ】沈没寸前の海賊船で、主人公ルフィらは宝箱を発見。中から出てきたのは黄金の入れ歯をしたおばあちゃんだった。ルフィらは、伝説の宝物を差し出すから、自分を島に送り届けてほしいと頼み込まれる。島に到着すると、おばあちゃんの息子で島の領主ラチェットが、ルフィらを母親をさらった海賊と思い込み、自分が発明したメカを使って戦いを挑む。 悪役の声優をSMAP稲垣吾郎(当時32歳)が担当した。製作関係者は「繊細なイメージがぴったり」と稲垣に依頼した。 チョッパーの声優が体調不良となり、代役が立てられた。 【長さ】1時間35分 【興行収入】9億円 【監督】宇田鋼之介 【ゲスト声優】稲垣吾郎(スマップ)、極楽とんぼ(加藤浩次&山本圭壱) 【脚本】伊藤正宏 【主題歌】「サヤエンドウ」(歌手:NEWS) |
「ワンピース THE MOVIE オマツリ男爵と秘密の島」 (2005年3月) 【配信(Amazon)→】 <予告編> <主題歌(氣志團)> |
第6作
異色作。従来の作品とは異なる作風やキャラクター像を打ちだした。往年の原作ファンからの評判はあまり良くない。 後に「未来のミライ」で米アカデミー賞アニメ作品賞にノミネートされる名匠・細田守が監督を務めた。細田は当時37歳。東映アニメーションに所属していた。若手の実力派として知られていた。 本作は、細田にとって初の長編映画の監督作となった。カメラ位置を意識した細田流の演出が冒頭から発揮される。前半はギャグ満載、後半はスリル満点。笑いとハラハラの物語が高速度で展開され、最後まで飽きさせない。 また、細田監督らしい叙情性と家族愛に満ちた物語も光る。 細田監督は1991年、アニメーターとして東映動画(現東映アニメーション)で仕事を始め、後に演出家に転向した。脚光を浴びるきっかけになったのは、2000年に公開された映画「デジモンアドベンチャー ぼくらのウォーゲーム!」だった。 ネット上の仮想空間で、パソコンや携帯電話を使いこなして怪物と戦う現代の子供たちをリアルに表現した。 これが現代美術家の村上隆の目に留まり、高級ブランド「ルイ・ヴィトン」や再開発ビル「六本木ヒルズ」のプロモーションアニメも手掛けた。 本作の後、細田は東映アニメを退社。翌年(2006年)の監督作「時をかける少女」で絶賛の嵐に包まれた。 【長さ】1時間31分 【興行収入】12億円 【監督】細田守(当時:東映アニメ所属) 【ゲスト声優】綾小路翔 【脚本】伊藤正宏 【主題歌】「夢見る頃を過ぎても」(歌手:氣志團) |
「ワンピース 呪われた聖剣」 (2004年3月) 【配信(Amazon)→】 <予告編> <主題歌(晴晴゛)> |
第5作
主人公ルフィの1人目の仲間となった剣豪ゾロが物語の軸となる。 【あらすじ】伝説の宝刀・七星剣が眠るアスカ島にたどり着いた主人公ルフィたち。間もなく船番のゾロ(中井)が行方不明になる。ルフィたちはゾロを捜索中、湖で少女マヤに会う。 同じころルフィの仲間のサンジらもマヤを追っていた。マヤを探し当てたサンジらの前に、2人の海軍剣士とゾロが立ちはだかる。ゾロたちはマヤから三つの宝玉を奪った。 その後、サンジたちはマヤの祖母イザヤから島に伝わる伝説を聞く。かつてアスカの国を滅ぼした妖刀こそ七星剣だった。100年に1度訪れる赤い満月の夜、七星剣はよみがえる。復活を阻止できるのは宝玉のみだという。 一方、ルフィたちは海軍の道場に出向き、道場師範サガに会っていた。七星剣はサガの手にあった。ゾロに宝玉を奪わせたのは、サガだった……。 【長さ】1時間35分 【興行収入】18億円 【監督】竹之内和久(東映アニメ) 【ゲスト声優】中村獅童、久本雅美、内博貴(NEWS) 【脚本】菅良幸(「キャプテン翼」「聖闘士星矢」「スラムダンク(テレビ版)」) 【主題歌】「あの場所へ」(歌手:晴晴゛) |
「ワンピース THE MOVIE デッドエンドの冒険」 (2003年3月) 【配信(Amazon)→】 <予告編> <主題歌(バンプ・オブ・チキン)> |
第4作
ワンピース初の長編映画。これまでの劇場版は2、3本立てのうちの1作品だったが、本作は初めての単独上映となった。 ワンピースの世界観や設定を丁寧に表現し、初心者でも入り込みやすい。CGもふんだん使用し、映像的にも内容的にもこれまでの劇場版とは格が違う作品となっている。 監督は、1999年の放送開始からずっとテレビシリーズを手がけている宇田鋼之介(うだ・こうのすけ)。「海賊的なバカバカしさって何だろう」と考えていくうちに出てきたアイデアが、ルールは一切ないサバイバル・レースという設定だったという。 バンプ・オブ・チキンによる主題歌も好評だった。 【あらすじ】立ち寄った港町で、ルフィたち一行は、海賊たちが競う大レース「デッドエンド」が開かれようとしているのを知る。危険な臭いと、高額の賞金にさそわれて、命知らずの彼らはレースに参加。「麦わらどくろ」の帆(ほ)を掲げた船は、山の頂上から流れ落ちる川を、風を頼りに逆に上っていく。 6番目の仲間で考古学者のロビンが映画版で初登場する。 女優の酒井美紀がゲスト声優として出演。これ以降の作品で著名人ゲストの起用が定着した。 主題歌はBUMP OF CHICKEN(バンプ・オブ・チキン)。 【長さ】1時間30分 【興行収入】20億円 【監督】宇田鋼之介 【ゲスト声優】酒井美紀 【脚本】菅良幸 【主題歌】「セイリング・デイ」(歌手:バンプ・オブ・チキン) 【敵】ガスパーデ海賊団 |
「ワンピース 珍獣島のチョッパー王国」 (2002年3月) 【配信(Amazon)→】 <予告編> <主題歌(DASEIN)> |
第3作
子供が楽しみやすい作品。「2002年春 東映アニメフェア」として一つとして上映された短編。同フェアでの公開は本作が最後となった。 チョッパーが仲間になってから初めての劇場作品。チョッパーの愛らしさを前面に出した。 【あらすじ】主人公の海賊ルフィ(声・田中真弓)と仲間たちは珍獣たちが住む島に足を踏み入れる。島には、秘宝の“ツノ”を狙う悪党一味が上陸していた。珍獣を狩る悪党一味と、島に眠る宝物を巡る戦いが始まる。 【見どころ】おだてられて調子に乗ったり必死に動物や仲間を守ろうとしたり、まだ仲間になったばかりのチョッパーの魅力を多面的に味わえる。常にいがみあっているサンジとゾロが、敵との戦いを通じてお互いを認め合っている事実を口走るシーンも見逃せない。 【評価】前作「ねじまき島の冒険」よりコミカルなシーンが多い。 キャラクターの感情の動きがより丁寧に描写されている。 「デジモンテイマーズ 暴走デジモン特急」「ワンピース 夢のサッカー王!」との3本立てだった。「ワンピース 夢のサッカー王!」は6分のおまけ作品。 【長さ】1時間 【興行収入】20億円 【監督】志水淳児 【脚本】橋本裕志 【主題歌】「まぶしくて」(歌手:DASEIN) |
「ワンピース ねじまき島(じま)の冒険」 (2001年3月) 【配信(Amazon)→】 <予告編> <主題歌(Folder5)> |
第2作
短編ながら見ごたえは十分。「2001年春・東映アニメフェア」として上映された。同フェアとして過去最高の興行収入を記録した。 原作者・尾田栄一郎氏が関与していない劇場版の中では最大のヒット作。 【あらすじ】大秘宝「ワンピース」を求めて旅を続けるルフィたちは、愛船ゴーイングメリー号を奪われた。世界一高価なからくり時計、ダイヤモンドロックのあるねじまき島を訪れる。 そこは悪魔の実の超能力者たち「トランプ海賊団」が支配し、住民を苦しめていた。ルフィたちは愛船を取り戻し、強大な敵を倒すために戦いを挑む。 メンバー5人が力をあわせて特殊能力を持つトランプ5兄弟と対決するも、武器がないため各自の戦闘能力を生かせなく、珍しい戦闘スタイルを見せている。前作で登場した3人衆も、トランプ海賊団の脇役として登場。 笑いと涙と感動にあふれた新たな冒険。劇場版1作目と比べて戦闘シーンが多く、ストーリーはあまり深くない。 【長さ】1時間 【興行収入】30億円 【監督】志水淳児 【脚本】橋本裕志 【主題歌】「Believe」(歌手:Folder5) 【敵】ベアキングとトランプ海賊団 |
「ワンピース」 (2000年3月) 【配信(Amazon)→】 <予告編> <主題歌(きただにひろし)> |
第1作
テレビ版の放送が始まった半年後に公開された。短編。「東映アニメフェア」として公開された。ゲームの世界から飛び出した痛快冒険アクション「デジモンアドベンチャー」との2本立てだった。 主人公率いる「麦わら海賊団」のメンバーは、まだウソップ、ナミ、ゾロのみ。4人それぞれのキャラを色濃く表しつつも、トビオ少年と祖父の物語が描かれる。エルドラゴとの対決で、ルフィがその時点で持つ技すべてを駆使するシーンは見事。 【あらすじ】時は大海賊時代。今や伝説となった大海賊、G・ロジャーが残した大秘宝「ワンピース」を求めて、幾多の海賊たちが戦っていた。 そんな海賊にあこがれる少年がいた。その名はモンキー・D・ルフィ。ルフィは仲間と一緒に「ワンピース」を求めて航海を続ける。 舞台は大海賊、ウーナンが宝を埋めたという黄金の島。島で繰り広げられる一大バトルは痛快そのもの。大人も大いに楽しめる冒険活劇だ。 【長さ】50分 【興行収入】21.6億円 【監督】志水淳児 【脚本】島田満 【主題歌】「ウィーアー!」(歌手:きただにひろし) |
出典:
日経エンタテインメント! 2012年 12月号 [雑誌]
キネマ旬報 2016年夏の増刊号 アニメーション特集(「ONE PIECE FILM GOLD」&「君の名は。」特集号) No.1723