【1992年】

映画「ドラキュラ」は、日本人の石岡瑛子さんがコスチュームを担当。1993年のアカデミー賞衣装デザイン賞を受賞した。

このほか、メイクアップ賞、 音響効果編集賞を受賞した。

「ゴジラ」シリーズが最初のらん熟期を迎えた昭和40年代。ゴジラのキャラクターには人間性が芽生え、モスラやキングギドラらとの激闘のさ中にも喜怒哀楽の表情が見てとれるようになった。「13日の金曜日」のジェイソンもしかり。シリーズの作品数が重なるに従って、モンスターサイドに感情移入するマニアックな観客が増え、製作者サイドもこれを意識せざるを得なくなる。

今回は究極のシリーズ作品ともいえる古典的素材を、実は「ドラキュラおたく」であるフランシス・コッポラ監督が思い入れたっぷりに描いている。ドラキュラが敗北するラストシーンで「カワイソー」と涙する評論家もいた。

コッポラのおたくぶりは、前半のドラキュラの歴史編ともいうべき部分に著しい。ドラキュラ誕生の秘話にまで触れたのはこの映画が初めてだそうだ。15世紀半ばのトルコ軍の攻撃からキリスト教世界を守るために戦ったドラキュラ公がどうして吸血鬼になったのか。詳述は避けるが、このモンスターの怒りの原因が分かってただの恐ろしいやつという一方的な見方はできなくなる。

物語は19世紀のロンドンに飛んで、ドラキュラ対人間のパターンとなる。紹介が遅れたが、ドラキュラ役は「JFK」でオズワルドを演じた渋めのゲイリー・オールドマン。恋人(ウィノナ・ライダー)を魔手から守ろうとする正義の人が二枚目のキアヌ・リーブスだ。コッポラの意図的な配役で、最初二枚目にひかれた観客は次第にドラキュラに傾斜していく演出だ。


湯村紗瑛

参考:
http://itjapan-award.com/